睡眠障害
睡眠障害とは
睡眠障害は、眠りに関する様々な病気の総称です。
その内約は、入眠の困難や中途・早期覚醒が起こる不眠症や、十分に睡眠をとっているにもかかわらず日中にも強い眠気を催す過眠症、入眠時や覚醒時・睡眠中に問題となる行動がみられる睡眠時随伴症など様々です。
一般人口の5人に1人は何かしらの睡眠障害を抱えていると言われており、高齢者の場合はより高い有病率が認められています。
また他の疾患の発病リスクに影響が大きいことから治療対応が重要視されてきています。
不眠症
不眠症は、上手く睡眠に入れない入眠障害、睡眠の途中で目が覚めてしまう中途覚醒、早朝などに十分な睡眠をとる前に目が覚めてしまう早朝覚醒、いくら寝ても十分な満足感が得られない熟眠障害があります。
眠れない経験は誰しも経験するものですが、慢性化することにより心身に様々な悪影響を及ぼします。
倦怠感・意欲低下・集中力低下・抑うつ・頭重・めまい・食欲不振など様々な不調が現れます。
不眠症の原因
不眠症は、身体的な影響や精神的なもの、性差や生活習慣、環境が原因となる場合など様々です。
急性ストレスによる不眠からの焦り・不安やそれに伴う飲酒量の増加、体調不良といったものが重なり慢性化するケースも散見されます。
不眠症の治療
不眠症の予防・治療にはいくつかの方法があります。
- 生活リズムの改善
- 体内時計と生活のリズムを同調させることで、不眠の解消につながる場合があります。
毎日一定の時間に起床し、朝日を浴びるようにします。起床直後に強い光を浴びることにより、体内時計の周期を整える効果があります。 - 食事時間の改善
- 胃腸が活発に活動していると、睡眠に支障をきたします。入眠の3時間以内の食事は避けましょう。
なお食事時刻が一定になると、消化酵素もその時間に合わせて働きが良くなりますので、規則正しく食事を取る事で消化が良くなります。 - 体温調整
- 人間は体温が下降する時期に入眠しやすく、上昇する時期は入眠しづらくなっています。
入浴により体温を上げておくと、体温が下がる際に入眠がしやすくなります。ただし熱いお湯は身体への負担と刺激が強く、また入眠直前の入浴は体温が下がりきらないことから、就寝1時間以上前に40度前後での入浴が望ましいです。 - 特定物質の摂取を避ける
- お酒には睡眠導入効果がありますが、アルコールには利尿作用があり、また分解途中で生じるアセトアルデヒトは覚醒作用があるため、中途覚醒・早朝覚醒の原因になります。
煙草に含まれるニコチンや、コーヒーやお茶などに含まれているカフェインにも覚醒作用があり、その効果は数時間持続します。なお、カフェインはチョコレートや清涼飲料水にも含まれているため注意が必要です。 - 薬物療法
- 症状が重い場合や改善しない場合は、睡眠薬の投与による薬物療法が主になります。
薬によって効果時間や効き目が違うため、医師の診察を受け、それぞれに合わせた処方をしてもらうことが望ましいです。
過眠症
過眠症は、夜に睡眠をとっているにもかかわらず、昼間の眠気が強くて起きていることが困難になる状態です。
代表的なものとして、耐え難い眠気と居眠りを繰り返し、金縛りや夢と現実を混同してしまうことがあるナルコレプシーが挙げられます。
過眠症の人は試験中や商談中など、通常では考えられない状況下で居眠りをする場合もあり、実生活に大きな影響を及ぼします。
また、転落や転倒、交通事故や産業事故を引き起こすケースもあるため、大事に至る前に治療を受けることが必要です。